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会長声明・意見書
2017.7.20 会長声明・意見書 死刑執行に抗議する会長声明

2017(平成29)年7月13日,大阪拘置所と広島拘置所において各1名の死刑が執行された。
 
一人は再審請求を行っている中での死刑執行であり,また,一人は裁判員裁判において被害者1名で死刑判決が下され,弁護人が控訴したにもかかわらず自ら控訴を取り下げ死刑が確定した者に対する死刑執行である。
 前者は,現行法の再審制度の問題(死刑判決に対する再審請求に執行停止効がないこと)を提起するものであり,後者は一審のみの判断で究極の刑罰である死刑を科すことの是非や自動上訴制度の導入の是非という問題を提起するものであり,いずれも,生命剥奪という究極の刑罰権である死刑の正当性について,手続保障の観点から大きな疑義を持たざるを得ないものである。

 また,死刑は執行してしまうと権利回復はもはや不可能であり,取り返しのつかない結果となるが,刑事司法制度は人の作ったものであり,その運用も人が行う以上,誤判・えん罪の可能性そのものを否定することはできない。
 我が国において,死刑事件について,すでに4件もの再審無罪判決が確定しており(免田・財田川・松山・島田各事件),えん罪によって死刑が執行される可能性が現実のものであることが明らかにされた。さらに,2014(平成26)年3月27日には,死刑判決を受けた袴田巖氏の再審開始が決定され,同時に「拘置をこれ以上継続することは,耐え難いほど正義に反する」として,死刑および拘置の執行停止も決定されて,現在でもなお死刑えん罪が存在することが改めて明らかにされた。

 世界を見ると2016(平成28)年12月末日現在,法律上死刑を廃止している国と事実上死刑を廃止している国(10年以上死刑が執行されていない国を含む。)の合計は141か国であり,世界の中で3分の2以上を占めている。
 加えてOECD加盟国の中で死刑制度を存置している国は日本,韓国,米国の3か国のみであるところ,このうち韓国は約20年間死刑を執行しておらず事実上の死刑廃止国であり,米国は2017(平成29)年6月の時点で19州が死刑廃止を宣言している。結局,OECD加盟国のうち死刑を国家として統一して執行している国は日本のみである。
 以上の通り,死刑廃止は国際的な潮流となっており,未だに死刑制度を存置させ死刑を執行しているわが国は,国連人権(自由権)規約委員会から死刑廃止に向けた行動を取ることの勧告を受け続けている。

 このような中,日本弁護士連合会は誤判,冤罪の危険性や,いかなる者であろうとも変わり得ることを前提に社会内包摂を目指すべきことを主な理由として,2016(平成28)年10月7日の第59回人権擁護大会において「死刑廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し,日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきことを宣言した。
 
 当会は,本件死刑執行について強く抗議の意思を表明するとともに,死刑制度についての全社会的議論を求め,この議論が尽くされるまでの間,すべての死刑の執行を停止することを強く要請するものである。

2017(平成29)年7月20日
旭川弁護士会 会長 飯塚 正浩

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