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会長声明・意見書
2013.2.4 会長声明・意見書 生活保護基準の引下げに反対する会長声明

 去る1月16日、社会保障審議会の作業部会は、子どものいる生活保護家庭などへの支給額が、低所得世帯(年収が下位10%に該当する世帯)の支出を上回るとの検証結果を公表した。これを受けて、厚生労働省と自民党は、生活保護基準の引き下げ、年末に支給される期末一時扶助の削減などを検討していると報道されている。今後、来年度予算編成過程において、生活保護基準を設定する権限を有する厚生労働大臣が、基準の引き下げを行おうとすることは、必至の状勢である。
 ところで、平成22年4月9日付けで厚生労働省が公表した「生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について」によれば、生活保護の捕捉率(制度の利用資格のある者のうち現に利用できている者が占める割合)は2割ないし3割程度と推測され、生活保護基準以下の生活を余儀なくされている「漏給層(制度の利用資格のある者のうち現に利用していない者)」が大量に存在する現状においては、低所得世帯の支出が生活保護基準以下となるのは、ある意味で当然の結果ともいえる。生活保護家庭への支給額が低所得世帯の支出を上回ることを根拠に生活保護基準を引き下げることを許せば、生存権保障水準を際限なく引き下げることにつながり、その不当性は明らかである。
 そもそも、生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、我が国における生存権保障の水準を決する極めて重要な基準である。生活保護基準が下がれば、最低賃金の引き上げ目標額が下がり、労働者の労働条件に大きな影響が及ぶ。また、生活保護基準は、地方税の非課税基準、介護保険の保険料・利用料や障害者自立支援法による利用料の減額基準、就学援助の給付対象基準など、福祉・教育・税制などの多様な施策の適用基準とも連動している。生活保護基準の引き下げは、現に生活保護を利用している人の生活レベルを低下させるだけでなく、市民生活全体に大きな影響を与えるのである。このような生活保護基準の重要性に鑑みれば、その在り方は、生活保護基準部会などにおいて純学術的観点からの慎重な検討を踏まえて、広く市民の意見を求めた上、生活保護利用当事者の声を十分に聴取して決されるべきであって、捕捉率の低さを無視して低所得世帯との比較だけで決めることは、あってはならないことである。
 よって、当会は、生活保護基準の引き下げに強く反対する。

2013(平成25)年2月4日
旭川弁護士会 会長 辻本 純成

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