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会長声明・意見書等
2021.6.3 会長声明・意見書等 旭川市いじめ防止等対策委員会委員及び同臨時委員の推薦に関して

 旭川弁護士会では、いじめ防止対策推進法(以下「法」といいます。)28条1項の重大事態の調査に関し、旭川市教育委員会(以下「市教委」といいます。)から推薦依頼を受けて、事案の重大性に鑑み、先日、旭川市いじめ防止等対策委員会(以下「委員会」といいます。)の委員及び臨時委員の推薦を行いました。推薦に先立って、当会から旭川市及び市教委に申入れを行いましたので、その内容等について、皆様にお知らせいたします。

 日本弁護士連合会が平成30年9月20日に策定した「いじめの重大事態の調査に係る第三者委員会委員等の推薦依頼ガイドライン」(以下「日弁連ガイドライン」といいます。)は、第三者委員会の事務局について、「第三者委員会の公平性・中立性の確保の観点から、なるべく教育行政・教育業務に関与していない部署の職員を担当者とするなどの配慮が求められます。」としており(日弁連ガイドライン6頁)、この点について申入れを行いました。
 これを受けて、事務局については、学校運営の指導助言に関することや児童生徒の事故報告に関することを所管し、委員会の事務を担当していた教育指導課から、市教委の総務等を所管する教育政策課に移されました。
 なお、法28条1項は、重大事態の調査を学校の設置者(教育委員会等)又は学校が行うものとしており、調査を受ける立場にもなると考えられる市教委が事務局を担当することになります。このような法律の規定が、調査の公平性・中立性を確保しにくくしていることは否めないと考えています。

 日弁連ガイドラインは、「第三者委員会の活動全般において、原則として設置者から独立して幅広い裁量が与えられなければなりません。会議日程や活動方針について、設置者の意向は考慮されますが、あくまで決定は第三者委員会の裁量によってなされなければなりません。」としており(日弁連ガイドライン6頁)、この点についても申入れを行いました。
 今回は、委員会が具体的な活動内容を決定する前の段階で、11月末にも調査結果が公表されるという報道があり、委員会の活動が事実上制約されることにもなりかねないところですが、市教委からは、スケジュール等は委員会で決定されるものであることについて、報道機関に対して改めて説明を行うなど、市民等の誤解が生じないよう対応する旨の回答がありました。
 拙速な調査によって不十分な調査結果となることは避けなければなりませんので、この点につきましては、皆様にも十分ご理解をいただきたくお願いいたします。

 第三者委員会の活動内容としては、アンケート調査、聴き取り調査、聴き取り調査の反訳の読み込みと音声記録のチェック、資料の収集と分析、現地視察、各種行政通知・指針等の検討、関係機関との協議、専門家からの意見聴取、委員間等の協議・意見交換、児童生徒及び保護者への説明等、並びに報告書の作成があり、その作業量は膨大なものとなります。調査期間中、委員は膨大な作業に多くの時間を割くこととなり、本来業務にまで支障を生じるなどの制約を受けることもあります。弁護士は、法律事務所を維持することが必要であり、他の受任事件への対応や新規案件の受任の機会を事実上制限されるなど、時間的・経営的負担が大きくなります。(日弁連ガイドライン3頁)
 そして、日弁連ガイドラインは「委員会の活動を充実したものとするためには、委員等の責務に見合った報酬が必要不可欠であり、報酬の算定方法・基準は委員の活動実態に見合ったものでなければなりません。また、委員会及び委員の独立性を担保するためにも、予算措置の懈怠等によって、委員会の活動が制限される事態は避けなければなりません。」として、適正な報酬の必要性について述べています(日弁連ガイドライン9頁)。
 しかしながら、旭川市が条例で定めている報酬は、法律事務所を維持することが極めて困難な金額であるため、当会では、事案の重大性に鑑み、今回の委員及び臨時委員の推薦にあたり、日弁連ガイドラインに沿った金額と旭川市から支給される報酬の差額を、当会が推薦した委員及び臨時委員に対して、当会の予算から支給することとしました。
 これは会員数78名の弁護士会としては大きな負担であり、今後、別の件で委員及び臨時委員の推薦の必要が生じたときに備えて、条例の改正を速やかに行っていただくよう申入れを行いました。

 皆様には、今後とも旭川弁護士会の活動にご理解を賜りますようお願い申し上げます。

以上

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