弁護士 宮下
1 ひまわり基金法律事務所とは
日本には約4万人の弁護士がいますが、そのほとんどが都市部に集中しており、弁護士がいない、ほとんどいない地域がたくさんあります。そのような地域のことを「弁護士過疎地域」といいます。弁護士過疎地域には、弁護士が近くにいないことで、物理的にも、心理的にも弁護士に相談・依頼しにくいという方々がたくさんいます。
そこで、いつでも、どこでも、だれでも、弁護士に相談・依頼ができるように、弁護士会の支援により各地(裁判所支部がある地域)に開設されているのがひまわり基金法律事務所です。
2 ひまわり基金法律事務所所長になるには
約7割の方が、司法修習が修了した後、公設事務所養成事務所に入所し、約1~2年間、先輩弁護士と一緒に事件を経験する等の養成を受け、その後、後任を募集しているひまわりの中から自分の行きたい事務所に応募をして、採用されれば晴れてひまわりの所長に就任することになります。任期は2~3年で、延長することもできますし、気に入れば事務所名を変更した上でそのまま経営を続けることも可能です。
北海道には、札幌に「弁護士法人すずらん基金法律事務所」という養成事務所があり、指導担当の弁護士、事務所で一緒に養成を受けている期が1~2年上の弁護士、その他事務所に関わってくださっている弁護士の先生方と一緒に事件を経験することができます。そのため、養成事務所に入ると、様々な弁護士から指導を受けた上で、安心して赴任することができます。
なお、ひまわりの所長になるためには必ず養成事務所に入所しなければならないという訳ではなく、一般事務所で経験を積んでからひまわりに赴任する方も約3割います。
3 ひまわり基金法律事務所所長の特徴
司法過疎地域で所長としてやっていくのは大変そう、不安だと思う方もいらっしゃると思います。しかし、司法過疎地でも都市部でも、弁護士としての仕事が大きく変わることはありません。むしろ、ひまわりでは、以下のような特徴(メリット)があります。
・所得の最低保障がある
弁護士の仕事では、どうしても売り上げの波があり、所得が少なくなってしまう年もありますが、ひまわりでは、年ごとに、所得が基準を満たさなかった場合には、一定額が援助金として支給されます。そのため、売り上げが低くても生活に困ることはありません。もちろん、所得が高くなった場合には、全て自分の所得となります。
・様々なサポ―トが受けられる。
各ひまわりには、6名の弁護士で構成される支援委員会が設置されています。1年に3回支援員会が開催され、他のひまわり所長も集まり、事件の報告、相談等を定期的にし、その後の懇親会で日々の悩み等を聞いてくれます。支援委員会以外でも、進めている事件や日々の悩みについていつでも相談に乗ってくれます。
また、1年に2回、東京で全国のひまわり所長が集まって研修を受け、その後に懇親会も開催されます。
・事務所経営の練習になる
弁護士になったら最終的に自分で事務所を経営したいと考えている方はたくさんいると思います。しかし、事務所を経営するとなると、初期費用がかかりますし、何も分からない状態からスタートするのは大変です。
ひまわりでは、原則、事務所、什器備品、事務員はそのまま前任のを引き継ぐことができるので、自分で用意する必要はないですし、赴任した時には、車両購入費や書籍購入費の一部について援助金が出るほか、古くなった、足りない設備・什器備品等に対して必要性が認められれば援助金が出ます。そのため、初期費用はかからないですし、事務所を運営するためにどのようなものが必要なのかを知ることができます。さらに、先ほども述べたように所得の保障もありますし、困った時には相談できる支援委員会もあるので、安心して事務所経営の練習ができます。
・自由に仕事ができる
法テラス事件や国選弁護事件等は受ける必要がありますが、基本的には自分で相談者から話を聞いて、自分で決めた報酬基準に従って金額を決定し、自分で事件を進めることができます。
また、当然ですが事件をしっかりこなしていれば、休みを取るのも自由です。そのため、誰に気兼ねすることもなく、平日に何日か休みを取って旅行に行くこともできます。
・地方で重宝される
弁護士過疎地域とはいえ、役所、社会福祉協議会、地域包括支援センター等の公的機関はあるため、そのような公的機関から相談を受け、連携して動いていくようなことがたくさんあり、数少ない弁護士としてとても重宝されます。公的機関の方々とつながっておくことで、自分の事件の時にも顔が利き、事件を進めやすくなるということは多々ありますし、色々な方から頼りにされるので、非常にやりがいを感じることが多いです。
・生活に大きな不便はない
司法過疎地というと、かなりの田舎を想像されるかもしれません。しかし、ひまわりがある地域は、裁判所支部がある場所なので、ある程度人口規模のある地域です。そのため、生活に必要なものは一通り揃っているので、日常生活に大きな不便はありません。
4 さいごに
都市部には、自分より経験のある弁護士がたくさんいます。その中で弁護士になったばかりの自分にしかできない仕事などほとんどないです。しかし、司法過疎地には、弁護士がほとんどいないので、自分にしかできない仕事、自分が頑張ることで救われる人がたくさんいます。都市部で弁護士をするのはいつでもできます。経験のために、自分の力を試すために、誰かの役に立つために、是非ひまわりの所長になってみませんか。
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