当会は、国選付添人制度の対象事件を、少年鑑別所送致の観護措置決定を受け身体拘束された全ての少年の事件全件にまで拡大するよう、少年法を改正することを求める。
少年は、一般的に精神的に未熟で自己防御能力が低く迎合性が強いという特徴がある。また、少年審判を受ける少年の中には、家庭環境に問題を抱える者が少なくない。弁護士付添人は、このような少年の側に立ち、非行事実の認定や保護処分の必要性の判断が適正に行われるよう少年審判手続に関与し、非行事実を争わない事件においても、家庭や学校・職場等の環境調整、被害者をはじめとした事件関係者との関係修復などを行い、少年の立ち直りを支援する活動を行っている。
ところが、2007年11月に導入された国選付添人制度は、その対象事件を重大事件に限定し、かつ国選付添人を選任するか否かを裁判所の裁量に委ねる制度にとどまっている。そのため、家庭裁判所送致後の大多数の少年は、私選で付添人を選任しない限り、弁護士の援助を受けることができない状態にある。2009年度の司法統計によると、家庭裁判所の一般少年保護事件の対象となった少年は年間で54,254人、そのうち観護措置決定により身体拘束されたのは11,241人に上るのに対し、弁護士付添人が選任されたのは6,139人に過ぎない。これは、成人の刑事被告人の弁護人選任率が98%を超えているのに比べて、極めて不十分であると言わざるを得ない。
こうした状況を受け、日本弁護士連合会は、全会員の特別会費に基づく基金を財源として、国選付添人が選任されない事件の少年や保護者に対し私選付添人の費用を援助する「少年保護事件付添援助制度」を実施してきた。
当会においても、少年鑑別所に収容された全少年を対象とする少年当番弁護士制度を2009年10月から実施し、少年が弁護士の援助を受ける機会を得られるよう取組みを行っている。
しかし、少年の健全な発達を支援する弁護士付添人の活動の重要性に鑑みれば、付添人選任制度の実現は、本来国の責務である。特に、少年鑑別所で身体を拘束された少年については、事件の軽重を問わず、少年院送致などの重大な処分を受ける可能性があることから、弁護士付添人の援助を受ける必要性が高い。
よって、当会は、国選付添人制度の対象事件を少年鑑別所送致の観護措置決定を受け身体拘束された全ての少年の事件全件にまで拡大するよう、速やかに少年法を改正することを求める。
以上決議する。
2011(平成23)年2月2日
旭川弁護士会 臨時総会