国における地方消費者行政の充実・強化については、これまで地方消費者行政推進交付金等(以下「交付金」という。)を通じて、財政的な支援が図られてきており、平成27年度及び平成28年度は50億円、平成29年度は42億円が予算計上されてきた。
しかしながら、平成30年度の消費者庁予算案においては、地方自治体から60億円を超える交付金要求がなされていたにもかかわらず、24億円にとどまる結果となり、地方自治体からの予算要請には全く応えられない状況となっている。
そのため、今後、地方自治体の消費生活相談員や相談窓口の担当者の減員や、必要な消費者教育・啓発活動ができなくなってしまう事態が生じることが懸念される。このことは当会も所属する北海道弁護士会連合会が、去る平成30年3月2日付「地方消費者行政の一層の強化を求める理事長声明」で詳細に指摘したとおりである。
当会としては、今後も地方消費者行政の充実・強化のためには、地方自治体の現場の声に耳を傾けながら、その財政的基盤を確立することが何よりも重要であり、そのための国からの支援が必要不可欠と考える。
よって、当会は国に対して、①平成30年度本予算で確保できなかった交付金額について、国として補正予算で手当てすること、②平成31年度の交付金を、少なくとも平成29年度の水準で確保し、その措置を少なくとも10年間継続すること。③地方公共団体が消費者相談を受け、相談情報をPIO-NETに登録したり、悪質業者に対する行政処分をおこなうことの効果は、その地域の消費者のみならず、国が行う制度改革や法執行・情報提供などを通じて国の消費者行政につながっているという点を踏まえ、地方公共団体のこのような事務費用に対する国の恒久的な財政措置について検討すること、を求める次第である。
2018(平成30)年5月17日
旭川弁護士会 会長 井上 雄樹