2018(平成30)年7月6日,いわゆる地下鉄サリン事件などに絡むオウム真理教元代表松本智津夫(麻原彰晃)を含む元幹部,合計7人の死刑囚に死刑が執行された。さらに7月26日,東京拘置所等において前同事件の関係者6名に対し死刑が執行された。
7月6日の7名の死刑執行に対しては日弁連をはじめとして,当会や他の弁護士会から多くの抗議声明が発せられていた。しかるに,さらに6名が執行されたとのことであり,誠に遺憾である。わずか1か月間に2回,合計13名もの大量執行は例を見ないものであり,上川法務大臣による死刑執行は,昨年8月に就任以降3回目となり,第2次安倍内閣以降14回目,合計34名に上る。
当会の平成30年7月18日付け「死刑執行に抗議する声明」でも述べた通り,我が国において死刑事件でも誤判があったこと,死刑廃止は国際的な潮流となっており,我が国が死刑存置国であることによる外交上の支障もあること等,今後も我が国で死刑執行を継続することには重大な問題がある。死刑に関する情報公開やこれらの問題に対する社会的な議論を進展させるべきである。
日本弁護士連合会は誤判,冤罪の危険性や,いかなる者であろうとも変わり得ることを前提に社会内包摂を目指すべきことを主な理由として,2016(平成28)年10月7日の第59回人権擁護大会において「死刑廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し,日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきことを宣言した。
当会は,7月6日の死刑執行に次いで本件死刑執行についても,再度,強く抗議の意思を表明するとともに,前記人権大会宣言の趣旨に沿った全社会的議論を深め,この議論が尽くされるまでの間,少なくともすべての死刑の執行を停止することを強く要請するものである。
2018(平成30)年8月22日
旭川弁護士会 会長 井上 雄樹