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会長声明・意見書
2018.7.18 会長声明・意見書 死刑執行に抗議する会長声明

 2018(平成30)年7月6日,いわゆる地下鉄サリン事件などに絡むオウム真理教元代表松本智津夫(麻原彰晃)を含む元幹部,合計7人の死刑囚に死刑が執行された。上川法務大臣による死刑執行は,昨年8月に就任以降2回目となり,第2次安倍内閣以降13回目,合計28名に上る。 
 また,一度に7人という大量の死刑執行は前代未聞であるばかりでなく,7人のうち6人は再審請求中の死刑執行である。とりわけ松本智津夫について,日弁連は6月18日付で刑事訴訟法第479条1項にいう心神喪失の状態にある若しくはその疑いがあるので,死刑の執行を停止すべきである旨を法務大臣に対し勧告したばかりであった。
 死刑は執行してしまうと権利回復はもはや不可能であり,取り返しのつかない結果となるが,刑事司法制度は人の作ったものであり,その判断,運用も人が行う以上,誤判・えん罪の可能性そのものを否定することはできない。
 我が国において,死刑事件について,すでに4件もの再審無罪判決が確定しており(免田・財田川・松山・島田各事件),えん罪によって死刑が執行される可能性が現実のものであることが明らかにされた。

 世界を見ると2017(平成29)年末現在,法律上死刑を廃止している国と事実上死刑を廃止している国(10年以上死刑が執行されていない国を含む。)の合計は142か国であり,世界の中で3分の2以上を占めている。他方,死刑執行国は23か国である。
 加えてOECD加盟国の中で死刑制度を存置している国は日本,韓国,米国の3か国のみであるところ,このうち韓国は約20年間死刑を執行しておらず事実上の死刑廃止国であり,米国は2017(平成29)年6月の時点で19州が死刑を廃止し,4州が死刑執行モラトリアム(停止)を宣言している。結局,OECD加盟国のうち死刑を国家として統一して執行している国は日本のみである。
 以上の通り,死刑廃止は国際的な潮流となっており,未だに死刑制度を存置させ死刑を執行しているわが国は,2014(平成26)年7月23日には国連人権(自由権)規約委員会から死刑廃止に向けた行動を取ることの勧告を受けているし,2016(平成28)年12月19日国連総会にて,すべての死刑存置国に対し,死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止を求める決議が採択されている。この度の死刑執行はかような勧告,決議に背くものである。

 日本弁護士連合会は誤判,冤罪の危険性や,いかなる者であろうとも変わり得ることを前提に社会内包摂を目指すべきことを主な理由として,2016(平成28)年10月7日の第59回人権擁護大会において「死刑廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し,日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきことを宣言した。
 
 当会は,本件死刑執行について強く抗議の意思を表明するとともに,前記人権大会宣言の趣旨に沿った全社会的議論を深め,この議論が尽くされるまでの間,すべての死刑の執行を停止することを強く要請するものである。

2018(平成30)年7月18日
旭川弁護士会 会長 井上 雄樹

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