9月19日(土)未明、参議院本会議において、安全保障法制改定法案(以下、「本法案」という。)の採決が強行され、本法案は成立するに至った。
当会はこれまで、立憲主義を擁護する立場から、本法案が戦争・武力行使等を禁じた日本国憲法第9条に抵触し、恒久平和主義、平和国家としての国の在り方を根底から覆す内容であることから、繰り返し反対を表明していた。
本法案の国会審議が始まってからは、日本弁護士連合会と全国の弁護士会が反対の意見表明を行うとともに、憲法学者、歴代内閣法制局長官、元最高裁判所長官を含む多くの元裁判官など、法律家はすべからく本法案の違憲性を指摘している。
また、国会審議が進むにつれ、本法案に対する肯定的な理解が広がることはなく、むしろ日に日に反対・懸念の声がいっそう広がり、市民各層による反対運動が急速に広がった。各種世論調査においても、本法案に反対又は少なくとも本国会での成立を強行すべきではないとする意見が国民の過半数を占めるに至っている。国会周辺の抗議活動は言うに及ばず、当会の管轄する道北地域においても年齢や立場を超えた市民各層による反対運動がかつてない盛り上がりを見せている。
これに対して、政府は、本法案の合憲性を合理的に説明することができず、曖昧な答弁を繰り返したまま、ついには数の力で押し切ってしまった。9月17日(木)には参議院特別委員会において、地方公聴会の報告や総括質疑を全く行わないまま、速記録記載不能なほどの大混乱の中での「採決」を強行したことをわたしたちは決して忘れない。本法案採決強行について、当会は、日本の憲政史上に汚点を残すとともに、多くの国民が政治に対して決定的な不信感を覚え国家の政治基盤自体を崩壊させかねない暴挙として、ここに強く抗議するものである。
憲法第98条が定めているとおり、憲法に違反する法律はどのようにしても効力を有しない。このことは立憲主義国家である限り揺るぎない理であると確信している。当会は引き続き、基本的人権を擁護し社会正義を実現することを使命とする弁護士の団体として、違憲無効の安全保障法制改定法の具体化や運用を許さず、また、その廃止を求めていくものである。そのために、多くの市民・団体と共同しながら力を尽くしていくものである。
2015(平成27)年9月24日
旭川弁護士会 会長 金 昌宏